2010年12月2日木曜日

「しまぶっく」探訪記

9月23日(木)、地下鉄清澄白河駅に近い深川資料館通り商店街に“本の島”的な書店が開店しました。その名も「しまぶっく」。いわゆる新刊書店ではなく古書・新刊洋書・ 雑貨などを販売する古本屋さんです。店主は、青山ブックセンター(ABC)やジュンク堂書店などで数十年お勤めになった知る人ぞ知る書棚編集の達人・渡辺富士雄さんです。



渡辺さんはこれまで数々のフェアを企画されましたが、ABCで最後に手がけられたフェアが「群島」をテーマにしたものでした。今福龍太さんの『群島—世界論』(2008年、岩波書店)に感銘をうけ、本に取り上げられている数々の書物からさらに選書し、三列の書棚を埋め尽くしました。一冊の本を媒介に、これだけ大規模なフェアが企画され、実施されるのは異例のことです。










書棚を見てまず目がひかれるのが、本と本の間にある蝶の標本です。渡辺さんは「これは読者の方々へむけたナゾかけなんです」とおっしゃっていました。、ちょっとしたヒミツを書棚に仕掛け、読者と豊かなコミュニケーションをはかろうとするのが、渡辺流です。
このブックフェアは大きな反響を呼びました。そして、その後ABC本店で展開される「本の島」フェアへと広がっていきました。


そして渡辺さんが、ABC退職後ほぼ一年を経て開店したのが「しまぶっく」です。






「しまぶっく」開店の日、さっそくご挨拶がてらうかがいました。ぼくが訪れたのは、午後3時頃。まだ小雨が降りつづいています。気温もかなり低く、「しまぶっく」のある通りまでの道すがらも人が少ない。これはもしかしたら厳しい船出かな、などと心配しておりました。がしかし、そんな心配もなんのその。なんとお客さんはひっきりなしに訪れているではありませんか。書棚を見てもところどころ本が抜け、隙間ができています。これは売れたということか?!


「渡辺さん、いいお店じゃないですか。で、どうですか?」とお聞きしたところ、「けっこうスゴイです!」。書棚を見ながら、お客さんとの会話を聞いていると「いつオープンしたんですか?」「あ! ここ本屋になったんですね」「また来ますねー」「ありがとうございます!」などの声が響いています。子どもがキャッキャ、キャッキャ騒いでいる声も聞こえてきます。


「しまぶっく」の前は清澄白河駅から東京現代美術館に向かうときの通り道になっているのですが、お客さんの多くは地元の人のようです。ツイッターやブログではあえていっさい宣伝せず、あくまで地元密着で営業したい、とおっしゃっていた渡辺さん。
「やったじゃないですか! 渡辺さーん」。
その後二時間ほど書棚を散歩し、おいとまいたしました。






「本の島」と思いを同じくする「しまぶっく」に、今後も注目です。ひきつづき「しまぶっく」をレポートしていきます。刻一刻と変化しつづけ、無言で語りかける「しまぶっく」の書棚を見に、みなさんもぜひ一度お立ち寄りください。(五島)




古書 新刊洋書 雑貨「しまぶっく」

〒135-0022 東京都江東区三好2-13-2

TEL/FAX 03-6240-3262

営業時間 11:00~20:00定休日 月曜日

※地下鉄清澄白河駅のA3出口を出たらすぐに左に曲がり、清澄通りを少し進みます。深川資料館通り商店街に入り、まっすぐ東京都現代美術館に向かって3、4分進みます。すると右手に間口の広い「しまぶっく」が見えてきます。駅から5分ほどです。